top of page

【第五回】静岡県 ビップ株式会社

 鉄筋人 松本 勝 様

・人とのつながりがあるからこその

 仕事がある!!

※インタビュアー鉄子:以下 鉄子

 松本 勝さん:以下 松本

〔鉄子〕

この業界に入ったきっかけを教えてください。

〔松本〕

この業界で働き始めたのは10代の頃・・・

父親の会社を手伝い始めたのがきっかけで、幼い頃から仕事を手伝ってもあり本当に自然な流れだったね。

中学生の頃なんかは日曜日はもちろん手伝っていたし、本当に身近にあった仕事だったという感じだね。

もうこの業界に入ってもう23年くらいになるかな?

もともと俺は親父っ子だったから、親父の仕事をしている背中を見て育ったっていう部分が大きいかもしれないね。

昔はお袋もトラック乗ったりもしてたし、そういうのには憧れというか純粋に「かっこいいな」とは思っていたよ。

〔鉄子〕

プロとして何が大切だと思いますか?

​〔松本〕

会社のみんなにも言っているけど、

「当たり前のことを当たり前に出来る」

ってのが大切だと思っているんだよね。

「当たり前」っていうのは人それぞれ価値観があるかもしれないけど

当たり前のことが当たり前にしかできないっていうやつもいるし

「相手に求められているもの」っていうのに応えるのが大事だと思っているんだよね。

「当たり前」っていうのは”お客さんがしてほしいこと全て”っていう風に俺は考えて仕事はしているね。

〔鉄子〕

この業界の最初の印象をおぼえていますか?

〔松本〕

印象かぁ・・・・時間が忙しく回ってなかった気がするなぁ

昔はなんとなく、「この辺で終わるか」っという感じで終わるイメージがあって。。。

もっと自由にやっていた気がするね。

工程があって「いつまで」に「ここまで」やらなきゃいけないっていうのが

昔より今のほうが明確になっているからかもしれないね。

工程もタイトになっているのも理由の一つにあるのだと思うけど、

鉄筋を組む前後の職種にも日程のサイクルを変えちゃうと迷惑かかっちゃうしさ。

時間の効率は良くなってはいると思うけどね。昔から比べると働き方は変わってきているのかもね。

〔鉄子〕

初めての現場、行った現場はおぼえてますか?

〔松本〕

覚えてるよ。

砂利屋さんの粉砕するコンベアの基礎工事だったね。親父と二人で行った現場で、

うちの親父は先組み工法をその当時からしていて、それを一輪車で運ぶっていう仕事だったんだけど

砂利道に120キロくらいの重さ鉄筋だよ?動くわけないじゃん?(笑)

だけど、親父に急かされて動かそうとしたら、倒れちゃったんだよ。

そしたら、親父にめちゃめちゃ怒られて初めての現場でだよ。

それで、親父が「こんなもん、こうやって動かすんだよ!!」って一輪車動かしたら

親父も倒してたけどね(笑)

それで、二人で手で運んだんだよね(笑)

辛かった現場もやっぱり覚えていて、

130tの地下の基礎工事の仕事で2週間の納期の仕事を3人でやったんだよ。

通常そういう現場は7人くらいでやるんだけど、

動力が約半分だからね。。本当にしんどかったね(笑)

やっぱり納期まで仕上げなければいけないっていうのがあるからね。

きっちり納期で仕上げたよ。

〔鉄子〕

仕事をしていて嬉しかったことは何ですか?

〔松本〕

鉄筋屋というか、商売している人としてやっぱり一番嬉しいのって

「またお願いします」ってお客さんに言われることだよね。

鉄筋屋として嬉しいことっていうとやっぱり一つとして同じ現場はないんだよね。

造るものも状況も、扱う材料も一緒のものって絶対なくて。

そんな中で難解な建物もあって、

構造的にやっかいなものって鉄筋屋さんは苦労するんだけど。

狭い隙間にたった1本の鉄筋を通すのが一番大変なんだよ。

それを頭の中で緻密に考えて計算してやっていくんだけど、それが出来た時は本当に嬉しいね。

見えないから、「頭の中で全部仕上げらる、映像みたいにそれができる。」

それが出来ないと親方にはなれないよ。

〔鉄子〕

仕事をする上で心がけていることはありますか?

​〔松本〕

お客さんに対して最後まで誠実なことは心がけているね。

職人の大事なことを3つあげれば

 ・昔はこうだったっていう無駄なプライドは捨てなきゃいけない

 ・常に勤勉でなければならない

 ・それを実行できる意欲がなければならない

っていうのは大事にしてて、それを守ろうと誠実でありたいと思うしね。

お客さんに迷惑はかけたくないっていうのはあるよね。

座右の銘で、

「為すまでなさねばならぬ何事も」

途中であきらめない、継続して一生懸命頑張ってやっていこうとか、いろいろな意味が込められていて、

これは実は親父の受け入れで、初めて聞いた時は衝撃が走ったね。

座右の銘を心に置きながら、

一つ一つは自分の答えを追い求めてはいるけどね。。。

結果を追い求めるけど

その結果も通過点だしなと思うと色々と頑張らなきゃいけないよね。

〔鉄子〕

これからこの業界にどうなっていってほしいですか?

〔松本〕

建設業って大きく考えたら、しっかりと自分が技術を提供できる業界になってほしいよね。

なんとなく仕事したりとかではなく、俺はこうやって役にたっていくんだという人が増えてほしいし。

そうすると自分たちが直接お客さんとやりとりできることも増えていくんだと思うんだよね。

〔鉄子〕

若い鉄筋人へ一言お願いします!!

〔松本〕

この仕事に携わってこの建物に携わっているっという気持ちを熱く感じてほしいかなぁ。

その積み重ねが、失敗とかしたとしても次頑張ろうという気持ちに直結していくと思うんだよね。

やっぱり自分が現場に入るなら、一番大変な現場に率先していってたよ。

自分がこの建物に携わってるって思うと会社で一番売り上げを上げて、

関わった人に喜んでほしいっていうのは常に思っていたからさ。

鉄筋屋で一番最前線で頑張っていたい

っていう気持ちは今でも変わっていないね!

この業界の若い子だけじゃなくて、今の若い子にも言えると思うんだけど・・・・

仕事に対して一生懸命になる時期とならない時期っていうのはあると思うのだけど、

一緒に仕事をしている人がいると思うと、その人たちに負けたくないとかじゃなく

どうしたら役に立てるとかを考えて仕事していった方がいいと思うんだよね。

こういう競合できる相手は、自分自身のこともわかってるから足の引っ張り合いではダメで、

そういう人たちと切磋琢磨してさ。

こいつもたいへんだよなとか相手のことをわかって、また仕事が楽しくなると思うんだよ。

色々あると思うんだけど、仕事を好きになる前に人を好きになってほしいかな。

「人の延長上に仕事がある」という感覚だと思うんだよ。

人とのつながりは本当に大事だからね。

​〔鉄子〕

松本さん、ありがとうございました。

 過去の鉄筋人インタビューはこちら 

bottom of page